l気管内挿管後の音声障害の1つに反回神経麻痺と共に披裂軟骨の脱臼を含む喉頭の関節の障害は念頭におく必要がある疾患と考える。
l披裂軟骨脱臼の発見治療が遅れることにより、音声や咽頭違和感などの症状の改善が難しくなる傾向が確認された。
l披裂関節の障害は発生のメカニズムは確認されたとは言いがたく、診断には注意を要すると考える。また特に誘因を認めない自然発症的なものも否定せず喉頭麻痺との鑑別を含め注意深い診療が必要と考えられる。
l医療行為とくに気管内挿管により起きる頻度が確認された。当院における挿管手術件数の0.14%、耳鼻咽喉科初診数対し、0.14%に披裂軟骨障害を認めた。藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科初診外来患者数に対する反回神経麻痺症例数が0.56%であり、頻度的にも少ないわけではな事が確認できた。
lこれらは術後早期に失声や嗄声にて当科に紹介となっているため発症ー診察までの時間が短い傾向にあった。これに対し消化管内視鏡後の症例では「内視鏡後の嗄声は時間と共に改善する」と説明され、改善しなかった症例が自らの判断で受診されるため受診までの時間が長くなっていた。
l徒手整復は、患者に負担が少なく、また結果も早く確認できる。後方、前方の脱臼方向が確のうえ、整復することにより治療効果は高くなることが期待される。また 脱臼に対する徒手整復は診断的意義もあり疑う症例に試みることも必要と考える。